【プレスリリース】サーベイランス整備により感染症と薬剤耐性対策の強化を(2020年9月3日)
AMRアライアンス・ジャパン
報道関係者各位
サーベイランス整備により感染症と薬剤耐性対策の強化を
AMRアライアンス・ジャパンは国内のAMRサーベイランス・システムについての新しい提言を発表
AMRアライアンス・ジャパンは2020年9月3日に、国内の薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)に関するサーベイランス・システムの強化に関する提言を取りまとめました。
細菌(病原体)が、抗菌薬の使用に伴い変化し、抗菌薬の効果が小さくなることを薬剤耐性(AMR)といいます。薬剤耐性菌による感染症が起きると、抗菌薬による治療効果が十分に得られず、最悪の場合には死に至る可能性があります。日本では、もはや交通事故死亡数の2倍に当たる毎年8000人が薬剤耐性菌が原因となり死亡していると推定されています。
AMRは国民の安全上の深刻な脅威であるものの、国内の広がりの状況や最適な対応方法については知らないことがまだ多く存在します。AMRに関する知識は国内サーベイランス・システムが収集し分析するデータに依存しています。国内のサーベイランス・システムはこの5年間で大きく進展していますが、システムを強化する余地はまだ存在し、例えば、以下の問題が考えられています
- AMR感染症患者の病原体情報及びアウトカムが不明であり、種々のAMR感染症のリスクアセスメントが困難
- AMR感染症に対する法的な枠組みの不完全性、並びに感染研及び保健所における人的リソースの不足が原因となり、包括的かつ適切なAMR対策が困難
- AMR関連アウトブレイク発生時の地域の状況が不明であり、迅速なAMR対策が困難
- 高齢者介護施設(介護老人保健施設、特別養護老人ホーム)、外来診療及び200床以下の医療機関におけるAMRの発生状況や抗菌薬の使用状況が不明であり、当該施設等における適切なAMR対策が困難
- ヒト・動物・環境の各分野を横断した地域の状況が不明であり、ワンヘルスの観点からの取組みが困難
今回の提言は、数か月をかけ当アライアンス内外の専門家に対しヒアリングを実施した成果物であり、上記の問題を解決することを目指しています。具体的な解決策として、感染症関連情報を、医療機関による報告の時点から電子的に管理すること、また、AMR対策を支えるために感染症法の改正などを提言しています。詳しくは、本ページの末尾のPDFファイルをご覧ください。
国民を守るためのAMR対策はAMRに関する正確な理解に基づき計画されます。AMRアライアンス・ジャパンは今後も、国内のAMRサーベイランス・システムがより強化されるよう貢献し、より多くの国民の命を守ることを目指します。