【政策提言】薬剤耐性(AMR)対策のための令和4年度診療報酬制度改定に関する要望書(2021年10月12日)
2021年10月12日に、AMRアライアンス・ジャパン(事務局:日本医療政策機構)は「薬剤耐性(AMR)対策のための令和4年度診療報酬制度改定に関する要望書」を発表いたしました。
提言の概要は下記の通りです。
細菌(病原体)が抗菌薬の使用に伴い変化し、抗菌薬の効果が小さくなることを薬剤耐性といいます。薬剤耐性が拡大すると感染症治療のみならず、抗菌薬の使用が前提となるがん治療等の現在行われている様々な医療を行うことが困難になります。抗菌薬の効果が十分に発揮されていれば助かるはずの命が今後救えなくなることが危惧されます。実際に、世界中で毎年、少なくとも約70万人もの人が薬剤耐性菌感染症により死亡していると考えられています。このまま対策が取られなければ、2050年には年間死亡者数は1,000万人にまで上昇するとの予測もあり、世界規模で薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)対策が進められています。既に日本ではAMRによる死亡者数は年間8000人と推定されており、これは交通事故による年間死亡者数の2倍以上に相当します。日本における高齢化やグローバル化が加速している現状を踏まえると、今後国内でも、AMRの影響がさらに拡大することが予想されます。上記の背景を踏まえ、現在の診療報酬制度を下記の内容を踏まえて改定し、AMR対策を進めやすい環境が整うことを期待いたします。
1. 感染対策の専門家によるコンサルテーションを推進しやすい制度改定を行う
2. 大学病院や基幹病院に感染症専門医を設置しやすい制度改定を行う
3. 小児抗菌薬適正使用支援加算の算定対象となる患者を拡大する制度改定を行う
4. 積極的な耐性菌スクリーニングを実施しやすい制度改定を行う
5. 細菌培養同定検査を迅速に実施しやすい制度改定を行う
6. 細菌薬剤感受性検査を迅速に実施しやすい制度改正を行う
7. 外来におけるボリコナゾールの治療薬物モニタリングをできるよう制度改正を行う
8. AMR真菌遺伝子診断を実施しやすい制度改定を行う
提言書の内容は、末尾のPDFファイルにてご覧いただけます。